2024年5月10日金曜日

 ドル円、155.95円まで上昇。
介入の下落幅に対して50%反発しました。

※ドル円日足

ドル円ロングは155.83円で全て手仕舞いました。
ここから上を買い上げていくには勇気がいりますね。
もう介入はできない、などと決めつけない方がいいでしょう。

ロールシャッハ・アドバイザリー代表 ジョセフ・クラフト氏の
解説は大変参考となりますので、ぜひご視聴を。

動画<トランプ、ライトハイザーとドル安政策>
『介入悲観論に異議!』
https://youtu.be/jU-itOcGmh8

ジョーさんによると、日本の個人のポジションもドルロングに大きく傾斜。
IMM通貨先物市場のヘッジファンドポジションも16万枚台のドルロング。
個人のポジションは介入前の「介入期待のドルショート」ポジションが
積み上がっていた状態から一変しています。

こうした介入期待のドルショート円ロングが踏み上がる形で
29日㈷に160円を突破したわけですが、今はそのような需給ではないため
ここからドル円が急伸するパワーはあまりないと思われます。

つまり、どちらかというと介入がないと見たドルロング円ショートが
「投げさせられる」ことがあれば、ドル円相場は崩れやすい状況にある
というわけで、ここから先は売り上がり戦略かなぁと思っています。

しかし156円を抜けてしまうと勢いづいて新規ロングも参入してきそうで
158円くらいまで上がる可能性は否定できませんので
ここから売るなら小分けに少額づつ売り上がる形。
160円まで耐えられるような資金管理での低レバで、
ということになるでしょうか。

152円台から期待させて160円まで介入がなかったコトを考えると
当局が市場にパンパンにドルロングを構築させてからの介入、
というやり方をする可能性もあって、160円までの耐久戦です。
個人的には160円まで引っ張らないとは思いますが、、、

今日5/9(木)神田財務官は
市場介入について「必要があればいつでもやる用意がある」と延べ
市場介入に使われる資金的な原資について
「世の中で言われている『こういうところが限界ではないか』
ということは全く間違っている」としています。
このあたりの話は上記、ジョーさんの動画をぜひ。

また、ドル金利がこれだけ低下しているのにドル円が上がり続けることも
難しいのではないかと思うのですが、どうでしょうね。
ボラティリティが低下してくると絶対的金利差から
スワップ狙いのポジションがじわじわ積み上がっていく構造、というのは
理解できますが、ここまでドル金利低下を無視してドル買いが続くのも
やや不可解ですね。

※米国債利回り

※日米金利差とドル円
日米金利差は縮小しているのにドル円は上昇。
介入によるドル円急落の反動とはいえ、
あまりに金利差に反したドルロング構築は
日本の通貨当局を軽視しているようにみえますね。

今日のドル金利低下は新規失業保険申請件数の悪化。

■米新規失業保険申請件数、前週比2.2万件増の23.1万件-予想21.2万件
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-09/SD7XHRGQOFSW00?srnd=cojp-v2
・先週分新規失業保険申請件数:23.1万件
           (予想:21.2万件、前回:20.9万件←20.8万)
・失業保険継続受給者数:178.5万人
        (予想:178.2万人、前回:176.8万人←177.4万人)
新規失業保険申請件数は昨年8月来で最高。
これをきっかけにドル円相場は156円を伺う展開から反落基調。

※ドル円15分足
しかし、ドル金利が低下したおかげで米株はハッスル。

※米国主要株価インデックス
ん~株式市場は凝りませんね。。。
下記NOTEに取り上げたニュース、米国経済を憂うものが増えていますが
株式市場は利下げを期待して再度上昇するんでしょうか。

また、ちょっと不穏なのが日本株市場。
再度円安進行でも、米株が上昇しても上昇力が弱い。

※日本主要株価インデックス
日経平均のチャートがよろしくない。

90SMA(緑の移動平均線)をサポートできなければ
35000円台がリアリティを増します。

今日はソフトバンクGの下落が日経平均の足を引っ張ったみたいですね。
傘下の英半導体設計大手アーム・ホールディングス株が決算
発表後の時間外取引で9%近く下落したことが響いたようです。

また、取引開始前に公表された
4月開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」
円安により基調的な物価上昇の上振れが続けば
正常化のペースが速まる可能性は十分にある」との
見方が出ていたことが確認され日銀の早期政策修正への思惑から
国内長期金利が上昇したことも嫌気されたでしょうか。
銀行株などは上昇していましたが、要は日銀はタカ派シフトしているということです。

■日銀 金融政策決定会合の主な意見公表 追加利上げ関連の発言も
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240509/k10014444041000.html

※日本国債利回り
前回ドル円上昇加速のきっかけを作った4月の日銀会合ですが
植田総裁の会見の
ドル円、基調的な物価上昇率への影響を無視できる範囲かとの問に
「はい」と回答したことばかりがフォーカスされています。

しかし、名目の中立金利は、プラス1.1〜2.5%と言及
2026年度までの見通し期間後半に政策金利が中立金利に到達としており
決して4月会合はハト派的ではありませんでした。

植田総裁は5/7岸田首相と会談してから発言のトーンが変わっていますよね。
5/8には為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている、
金利をより早めに調整していくことが適当になるなどと発言しています。

日銀きっかけに円安が加速する、というこれまでのパターンは
今後はなくなるのではないかと見ています。

ただ、為替に配慮して発言のトーンを修正することは結構ですが
政策の転換、というのはまだ早いでしょう。

■実質賃金3月2.5%減 24カ月連続マイナス、過去最長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08BLH0Y4A500C2000000/

インフレに賃金上昇が追いつかない。
実質賃金は24ヶ月連続マイナス。
しかも今回は2月の▼1.8% から▼2.5%にマイナス幅拡大です。

ただ、今年の春闘は高い水準の賃上げが実現しており
「4月分から(今年の)春闘の実績が反映され始める」と見られ
次回発表される勤労統計に注目ですね。

ここでプラス転換があれば、一気に日銀の利上げ、引き締め機運が高まり
円金利上昇圧力が強まる可能性が。

年後半に米国は利下げを始めるだろう、
日本はともすると引き締めに動く。
やはりドル高円安相場は終盤にある、という気がするのですが
足元はドル円上昇が続いています。
この流れを財務省は容認しないと思われますので
再度の介入にはお気をつけください。

NOTE
■ウォール街にも連銀にも見えない「幻の負債」-米消費者の現状不透明
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-09/SD5L7OT0G1KW00
「BNPL(後払い決済)」
・市場規模は28年までに世界全体で7000億ドル
    (約108兆9000億円)近くに達すると予測
・各社は情報開示の強化を求める声に繰り返し抵抗
 ~極めて重要な米国家計の健全性の全体像を覆い隠している
・クレジットカードの支払いの延滞率は少なくとも12年以降で最高
~ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏

■「深刻な債務超過」の住宅ローン、全米で増加-金利上昇が市場冷ます
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-09/SD7BWLT0AFB400

■米ハイテク「マグニフィセント7」、幹部や取締役の自社株売りが加速
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-09/SD7Y34DWX2PS00?srnd=cojp-v2-markets

■英中銀、利下げに近づく-総裁は市場予想より速いペースも示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-09/SD7T8TDWRGG000
[金融政策]
・英中銀:政策金利を5.25%に据え置きとすることを決定
「政策委員7人が据え置き支持、2人が利下げに投票」
「インフレ持続のリスクは後退している」
「インフレ予想は26年4-6月に1.9%、27年4-6月は1.6%に」

・声明
「インフレ持続のリスクは後退している」

・ベイリー英中銀総裁
「状況が正しい方向に向かっていると楽観」
「為替と市場動向を注視」

短期金融市場では英中銀の6月の利下げを織り込む。
ポンド売り優勢になるもリバウンドしており、決してポンドは弱くない印象。

ひろこのX

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