2022年1月30日日曜日

 1・週末米株高、長期金利低下も
  イールドカーブフラットニング傾向
  ~タカ派的だったFOMC受けても上がらぬ長期金利
2・天候リスクからの食料価格上昇のリスク
3・OPECプラス会合~WTI原油100ドル超え見通し渦巻く
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先週はFOMCを受けて米株の下落、金利の上昇が顕著となりましたが
週末にかけては米株が反発、長期金利はやや低下して引けています。
週末リスクを回避する買い戻しなどがはいっただけ、とみています。

短期金利の上昇は、市場が年内3~7回の米利上げを織り込む格好ですが
(JPモルガン5回、バンカメ7回、モルガンのダイモン氏7回)
長期ゾーンの金利は抑制的、特に先週末、長期金利は低下して1週間を終えています。

このまま長短金利が縮小ーフラットニングし続け逆転などしようものなら
それは景気後退のシグナルとして再びマーケットには緊張が走るでしょう。

※米国債券利回り一覧
トレンドがわかるようにラインを引いてみました。
長期が上がらず、短期が急上昇中、金利が縮小していますね。

今週はISM製造業/非製造業景況指数や雇用統計など米国の重要指標が
色々でてきます。先週26日にFOMCのスタンスが示されたばかりですが
今年7回の利上げなどと市場が前のめりになっているため
ISMの価格指数や、雇用統計の平均需給などインフレに関連する数字には
市場が敏感に反応すると思われます。

22年の利上げ予想やQTの議論から察するに市場は現時点では、
FRBの現在のスタンスではインフレは収まらない、と見ているのですが
今週発表される指標で雇用指数や平均時給が落ち着いていればドル高一服か。
加速していればドル高はさらに進行するかもしれません。

※通貨インデックス一覧  ドル独歩高です。今週はやや修正もあるか?

ところが、景気の先行きはどうでしょう・・・。
ってのが今週のみどころですが、アトランタ連銀が公表している
GDPNowをチェックすると米国の22年第1四半期のGDP成長率は0.1%!!
https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow

景気はピークアウトし減速していく予想の中での利上げです。
一旦、株が戻りを入れるフェーズに入るかもしれませんが、
戻りは売られるのではないでしょうか・・・。

※米主要株価インデックス


そして、通貨市場ではドル独歩高です。
米金利上昇基調であることに加えて、米株や米債が売られているため
キャッシュ化によるドル高=リスクオフ相場なのだと思います。

今週は、RBA豪州中央銀行の金融政策
    ECB欧州中央銀行の金融政策
    BOE英国中央銀行の金融政策 が予定されています。
    
英国はCPIの上昇から、今月の利上げ観測が強まっていますね。
上記主要国の金融政策が市場のコンセンサスよりタカ派的となれば
豪ドル高、ユーロ高、ポンド高といったようにドル安となる局面があるかも
しれませんが、リスクオフ相場が続く限りはドル高基調は変わらないと思います。

そして、そもそもリスクオフ相場に何故なっているのか。
「景気減速局面入りなのにインフレ退治で金融引締を急ぐFRBが
 株や大きく下がっても再度緩和政策に戻ることはない」ことであって
株が崩れようともFRBは助けてくれないことが明らかとなっていることにあります。

というわけでドル高ポジションは継続していますが
ドル円だけは手仕舞っています。
リスクオフならドル高円高なので、円高となるリスクもありますね。
FOMCという大きなイベント通過で一旦ドル円は115.50円を超えるところまで
ドル高が進んだのですが、クロス円の下落を見ていると
こちらに引っ張られてドル円は今年の高値を超えるような上昇には
ならないだろうと考えています。

NYダウ 34564ドルS → 34282ドルで一旦買い戻し・・・
    戻り売りスタンス
ユーロドル1.1262ドルS 継続
キウイドル0.6650ドルS 継続
ドル円113.96円L →  115.23円で利食い
    ドル円はレンジトレードになりそう、、、
    ここからはクロス円の戻り売りがいいかも。

2・ウクライナ緊張だけではない、ブラジルの天候リスクでの穀物高

Seca e chuva aumentam custos no campo e devem pressionar inflação dos alimentos em 2022
https://g1.globo.com/economia/agronegocios/noticia/2022/01/22/seca-e-chuva-aumentam-custos-no-campo-e-devem-pressionar-inflacao-dos-alimentos-em-2022.ghtml

ラニーニャ現象の結果、ブラジルの北部と北東部では大雨、
南部では干ばつが発生しています。
農畜産物の生産に損失が生じ現場でのコストが増加。
今年の消費者の食品インフレを圧迫する見通し。

干ばつの影響を最も大きく受けているのは、
南部と中部・西部の一部で栽培されている大豆とトウモロコシ。
昨年末からの雨不足により、植物の生育が損なわれ、
多くの農場で生産量が減少している。

鶏肉価格も上がるかもしれません。
~家禽の飼料はトウモロコシと大豆粕で構成されており、
穀物の価値が高いため、この分野のコストは上昇。
21年にはすでに鶏肉の価格が上昇しているが、生産者によると、
現在のコストが今後数ヶ月のうちに消費者に転嫁される可能性が~。
【REPORT】世界最大の鶏肉輸出国 ブラジルの鶏肉事情
 https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001300.html

先週、ロシアのウクライナ侵攻が緊迫化する中で
ロシアの小麦、ウクライナのとうもろこし輸出が影響が有るリスクについて
ブログを書きましたが、大豆、コーンの上昇は
こうした地政学リスクだけの上昇ではないということです。
1/26 ウクライナ緊張で穀物高へ
http://hiroko.yutaka-shoji.co.jp/2022/01/vix30.html

大豆、とうもろこしともに2019年の輸出量はブラジルが世界一です。

※大豆

※コーン


3・OPECプラス、3月も現行の増産ペース維持の公算=関係筋
https://jp.reuters.com/article/oil-opec-idJPKBN2K01I7
日量40万バレルの増産、予定通りにやるだけでしょう、というのがコンセンサス。

OPECプラスの「プラス」にはロシアが含まれています。

バイデン政権はガソリン高、インフレで支持率が低迷、
OPECに原油の増産を要請していますが、仮にロシアがウクライナ侵攻に
踏み切った場合はロシアに制裁を発動するとしています。

制裁を発動するかもしれない相手に、増産オファーってのも変な話ですよね。

もしそんなことになればロシアのエネルギー供給に頼るわけにも行かず
原油価格はますます高騰するリスクが囁かれているのです。

そもそも需給がタイトであることも価格高騰の背景ですが
それに加えて地政学リスクも出てきたということですね。

夏に原油100ドル乗せ、ウォール街の予想強まる
先進国の在庫減や需要増、OPEC増産の不透明感が一段の原油高予想を裏付けている
https://jp.wsj.com/articles/whats-behind-wall-streets-100-oil-forecast--11643326365

原油高騰、見えぬ商品混沌の先 見通し軒並み100ドル超
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB173RY0X10C22A1000000/
未来が予測できない先行き不透明な情勢を「VUCA(ブーカ)」と呼ぶ。
コモディティーはまさにVUCAの時代に入った。

最も最悪のシナリオは、米国が金融引締めに動いて株価は下落し
景気減速に拍車をかける可能性があるのに
インフレは全く沈静化しないこと。
世界がスタグフレーション化するかもしれません💦

※WTI原油日足



4・今週の注目経済指標、イベント

31日(月)・中国春節休場入~2/6まで
     ・ドイツCPI
     ・米シカゴ購買部協会景気指数(1月、予想62.5、前月64.3)
     ・米ダラス連銀製造業活動指数(1月、前月19.2)
         
2/1(火)・RBA豪州政策金利
    ・米ISM製造業景況指数(1月、予想58.0、前月58.7)
    ・OPECプラス閣僚級会合 

2日(水)・NZ雇用統計
    ・米ADP雇用統計

3日(木)・BOE英国 政策金利/インフレリポート
     ~0.25%の利上げ予想
      利上げがなければポンド安。
      12月CPIが強かったため利上げ見込み。

      
     ・ECB欧州 政策金利
     ~ラガルド総裁はFRBほど積極的な金融正常化は行わないとしているが
      ECB内で足並みが揃うのか?

     米ISM非製造業景況指数

4日(金)・カナダ雇用統計
     ・RBA 豪州四半期金融政策報告
     ・米国雇用統計(1月)NFP 予想+238千人(前月+199千人)
              失業率 予想3.9%、前月3.9%
              平均時給 前年同月比、予想+5.1%、前月+4.7%)

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