2023年8月20日日曜日

 この週末も中国のネガティブニュースが。
◆不動産大手の中国恒大集団、米国で破産法の適用申請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1808C0Y3A810C2000000/
・恒大の債務総額は22年末で2兆4374億元
・有利子負債6123億元の27.3%は米ドル及び香港ドル建て

チャプター11じゃなくて15?
米連邦破産法15条は米国籍以外の企業が
米国内の資産を保護する目的で申請するもので、
認められれば債権者による資産の強制的な差し押さえを回避できるとあります。
米連邦破産法11条は原則120日以内に再建計画を策定することになっていますが
再建することが前提ではないということでしょうか。
しかし恒大集団が務の支払いができずデフォルト状態となったのは

この報道は18日金曜のと東京時間に飛び出しました。
恒大集団は21年12月にドル建て債務のデフォルトを起こしており
22年3月には株の売買も停止されていましたので
驚きはそれほどなかったように見えますが、
先週は同じく、不動産大手の碧桂園が7日、
発行したドル建て社債2本総額2250万ドル(約33億円)の利払いが
できなかったことがニュースになっていましたよね。
利払いが行われなかったのは2026年2月満期債と30年8月満期債ですが
30日間の猶予期間内に支払いができなければデフォルト(支払い不能)となります。

そして、これに関して週末でてきたのがこれ。

◆中国・碧桂園、私募債の償還延長提案へ 債務再編急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM190J80Z10C23A8000000/
私募債の償還を3年間延長する案を債権者に提案する
対象は9月2日に償還期限を迎える人民元建ての私募債で、
元本残高は約39億元(約780億円)

9月2日償還分の元建て私募債の償還延期を
債権者が受け入れるのかどうかわかりませんが、
まずは7日に利払いができなかった社債の支払い猶予が
30日後にやってきますので、ここで支払いができなければ(これはドル)
デフォルトとなるわけで・・・。

そして流石中国。

◆中国不動産大手の碧桂園、ハンセン指数銘柄から除外-定例見直しで
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-19/RZM42ET0AFB401
香港ハンセン指数から碧桂園を除外することを決定。
先週は若年層の失業率の公表を一時停止することを決めました。

◆中国、若年失業率の公表一時停止 海外投資家の信認さらに低下も
https://jp.reuters.com/article/china-economy-unemployment-idJPKBN2ZQ06F

不動産企業だけが問題ではありません。
中国は政府の負債も問題です。

◆土地売却で財力誇った中国地方政府、不動産危機で借金まみれに
https://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2023081880021
大手投資銀行ゴールドマンサックスは
中国地方政府の負債規模が94兆元(約1880兆円)に達すると試算した。
中国のGDPに占める地方政府負債の割合は
2019年の62.2%から昨年には76%へと急激に上昇

中国地方政府の債務って1880兆円もあるの?
と思ってちょっと調べてみたら
6月の記事ですでに1100兆円(22年末)という資産がありましたね。
あれから8ヶ月でさらに700兆あまり増えたということでしょうか。

◆中国、地方政府の「隠れ債務」1100兆円 深まる財政難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM059Q10V00C23A6000000/

記事中に出てくるこの文章。

中国の中央政府(国務院)は「地方政府の合法的な資金調達ルートは地方債のみ」と定める。実際には融資平台が資金を調達し、公共事業などで経済を支えてきた。

この「融資平台」が新たな火種なんですよね。
※融資平台(LGFV)は、中華人民共和国の地方政府が傘下に置く投資会社

◆23年時点の債務残高は66兆元(1300兆円強)だそうです。
https://twitter.com/yoichitakita/status/1690519783819939840

先週、こんな報道がありました。

◆中国、約20兆円のLGFV債務を地方政府に付け替えへ-(8/11)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-11/RZ8330T0G1KW01

付け替え?債務負担を地方政府に付け替えるというのは要するに
公的に飛ばしを行うということでしょう?!
さらに週末にはこんな報道が。

◆中国、融資平台の社債利回り低下 暗黙の政府保証見込み買い殺到(8/18)
https://jp.reuters.com/article/china-lgfv-bonds-idJPL4N39Z0HO
中央政府が地方政府の債務問題に取り組む方針を示したことから、
投資家は暗黙の政府保証を見込んでLGFVの社債に殺到

中央政府にどんな策があるというのでしょうか。
付け替えでLGFVの破綻を先延ばししている現状で・・・

さらに大手の資産運用会社が投資商品の支払いが滞っている模様。

◆中国、大手資産運用会社の投資商品支払い遅延で作業部会設置ー(8/14)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-14/RZDF20T0AFB401
・中融国際信託で複数の高利回り投資商品の支払いが滞っている
・中植は1兆元(約20兆円)超の資産を管理

◆中国不動産危機、影の銀行に波及-信託商品の投資家が異例の抗議
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-17/RZICSXDWRGG001
中国の信託業界は2兆9000億ドル(約425兆円)規模
信託セクターの不動産へのエクスポージャーは2022年末時点で
約2兆2000億元と総資産の10%に相当。

◆深まる中国シャドーバンキング(影の銀行)の問題
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0818_4
多くの信託会社は地方政府や国有企業が株主になっており、
一部の融資は地域のインフラ計画を支えている。
そのため、信託商品には政府による暗黙の保証が付いている、とみなされることが多い。

というわけで、中国リスクがマーケットに影を落とすリスク。

◆中国に悪材料相次ぐ、身構える世界の株式運用者-有望だった投資裏目
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-19/RZMBLWT0G1KW01?srnd=cojp-v2
・対中エクスポージャーが大きいグローバル企業から成る
   MSCIの指数は今月に入り約10%安
・バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは
   米国株がさらに約4%下落する可能性がある

◆中国の「リーマン・モーメント」懸念する投資家
https://jp.wsj.com/articles/investors-fear-chinas-lehman-moment-is-looming-c75e0383

中国のニュースまとめるだけですごいボリュームになっちゃう💦
次々に噴出する中国リスクに
金融市場がチャイナショック的な下落になるのか否か、
この秋は予断を許さないムードになってきました。

たとえば、中国政府がLGFV救済のためにドルを調達、
米国債を売るなんてことがあればドル金利はさらに上昇します。
中国、中東諸国がこのところ米国債保有を減らす傾向にあることは
周知されつつありますが、これが加速しないといいですね。

◆サウジアラビアは6月に米国債保有を32億ドル削減し、約7年ぶりの低水準となった
https://twitter.com/Barchart/status/1691914240771182702
隣国のUAEは40億ドル近くを売却した。
中国も6月に113億ドルを売却し、2009年半ば以来の低水準となった。

ただ、米株がさらに急落するようなら資金は債券市場が受け皿となるでしょうから
これ以上ドル金利が上がらないような気もするんだけど、
ドル金利の行方に関しては今週のジャクソンホール会合の注目度が高いですね。

注目のポイントは先週書きましたのでこちらを↓
◆ジャクソンホール会合では「r*」が話題に?~中国危機がドル高をもたらす可能性
http://hiroko.yutaka-shoji.co.jp/2023/08/r.html

そしてもう一つの注目はNADIAの決算。
23日(水)取引時間終了後に5-7月期決算を発表します。

chatGPTブーム(生成AI)需要期待でNVIDIAの株は
22年末比で3倍にまで大きく上昇しました。
期待で買われた側面は大きくなかったか?
この金利高で、本当に成長できているのか・・・。

このところ、株安でもドル円相場はリスクオフの円高になりません。
相関が強いのは米長期金利。
利上げなどの金融政策が注目されるときには短期金利に相関するのがセオリーですが
足下では利上げではなく、景気後退懸念の払拭による金利高の長期化に
市場のフォーカスが集中しているということですが、
中国リスクによる先行き不安が高まるような動きが強まれば
長期金利上昇も一服し、ドル円上昇も一服する可能性も出てくるかと思われます。

ユーロドル1.0931ドルショート
NZドル0.5960ドルショート 継続ですが
ドル金利が急低下することがあればドル高も一服するでしょうから
利食いできるうちに買い戻すこととします。

リスクオフ相場が広がればドルへのレパトリでドル高加速、
って線もあるかもしれませんが。
人民元売り蛾続くことでドル高継続とかね・・・

********今週の主な予定************

23日、8月のユーロ圏及びドイツ・フランス、英国、米国のPMI(購買担当者景気指数)が
一斉に発表されます。ユーロ、大きく動くかもしれません。

欧、英、米の景況感に注目
https://fx.minkabu.jp/news/272516

<8月21日(月)>
◆独7月生産者物価指数(PPI)
◆香7月消費者物価指数(CPI)
◆決算:ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)

<8月22日(火)>
◆米7月中古住宅販売件数
◆米8月リッチモンド連銀製造業指数

<8月23日(水)>
◆NZ小売売上高(第2四半期)
◆ドイツ製造業PMI・非製造業PMI速報値(8月)
◆ユーロ圏製造業PMI・非製造業PMI速報値(8月)
◆英国製造業PMI・非製造業PMI速報値(8月)
◆米製造業PMI・非製造業PMI速報値(8月)
◆米8月総合購買担当者景気指数(PMI)速報値
◆米7月新築住宅販売件数
◆決算:エヌビディア(NVDA)

<8月24日(木)>
◆米7月耐久財受注
◆米ジャクソンホール会議(25日まで)
◆決算:ギャップ(GPS)

<8月25日(金)>
◆8月東京都区部消費者物価指数(CPI)
◆独4-6月期国内総生産(GDP)改定値
◆8月IFO企業景況感指数
◆米8月ミシガン大学消費者態度指数確報値

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