・週明けから円高、日本株安リスク?
~岸田政権、2%物価目標の柔軟化検討
・FOMC/ECB/BOE整理
・海外勢はクリスマス休暇、流動低低下に注意
・ゼロコロナ緩和でも人流が止まった中国
・米国、戦略石油備蓄原油の買い戻し開始
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・岸田政権、2%物価目標の柔軟化検討
https://nordot.app/976741516678152192
岸田政権が、政府と日銀の役割を定めた共同声明を初めて改定する方針を固めたことが17日、分かった。「できるだけ早期に実現する」としている2%の物価上昇目標の柔軟化を検討し、岸田文雄首相が次期日銀総裁と協議して内容を決める。
もしこれが本当ならアベノミクス終焉ですね。
2%の物価上昇目標の柔軟化とはどういう意味でしょうか。
情報が限定的なのでまだ確定的なことは言えませんが、端的にまとめると
首相が日本経済の現状を全く理解されていないことが
ここからのドル円相場、日本株市場の最大のリスク要因である、ということです。
政府・日本銀行の共同声明
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130206a2.pdf
金融政策の転換を意味するなら、マーケットはこれを異次元緩和の終了とみなし
円売りから一転、円買いへの材料とする可能性が出てきます。
それでも米国の金利は5%までは引き上げられる見込みですし
(12月FOMCでターミナルレートは5.1%に引き上げられた)
絶対的な日米金利差は大きいため、
100円を割り込むような円高にはならないと思いますが
23年、日銀が緩和政策の修正に着手した頃に
米国リセッションで利下げに追い込まれるなど
タイミングが悪ければ日米金利差の急速な縮小が材料視されての
ドル円下落のトレンドが加速するリスクは出ています。
さらに、財政政策面では増税の議論で与党内が紛糾、
実施時期を明確にしないことで一旦矛を収めた格好ですが
時期の先送りというのは、つまり増税を実施することが前提であり、
外堀が埋められていることは株式市場にはマイナスです。
防衛増税、実施時期先送り 岸田首相、政権運営に火種残す
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022121501041&g=pol・最終決着を先送りする形でひとまず収まった
・慎重派の理解を得るため増税時期を曖昧にし、痛み分けを図った
・増税時期は「2024年以降の適切な時期」と記すにとどめ、
実施期限は明確にしなかった。
防衛増税、「十分な説明ない」「賃上げに水」 経済界に不満の声続々
https://www.asahi.com/articles/ASQDJ6TCYQDJULFA036.html週明けからのドル円相場に注目です。
FOMCでターミナルレートが引き上げられたことは
ドル買い要因として効いてくるかと思っていたのですが
日本側からでてきた材料で円買いが強まるリスクが出てきました。
・FOMC/ECB/BOE整理【12月 FOMC】タカ派的◆FF金利 0.5% 引上げ(予想通り) 4.25~4.5%へ
~4会合連続0.75%利上げから0.5%ヘ利上げ幅縮小
~ターミナルレートは5.125%
◆2023年末から2025年末までのドット中央値が上方修正
2023年末:5.125%(上方修正幅 0.5%)
2024年末:4.125%( ” 0.25%)
2025年末:3.125%( ” 0.25%)
パウエル議長
「今後、ターミナルレート予想を引き上げないと確証持って言えない」
「過去の事例は、早計な金融緩和に踏み切らないよう強く戒めている」
~来年の早期利下げ観測を否定
◆成長率見通し(カッコ内は前回9月FOMC時点の見通し)
2022年:0.5(0.2)
2023年:0.5(1.2)★23年の成長率が大きく下方修正
2024年:1.6(1.7)
2025年:1.8(1.8)
◆失業率 (カッコ内は前回9月FOMC時点の見通し)
2022年:3.7(3.8)
2023年:4.6(4.4)
2024年:4.6(4.4)
2025年:4.5(4.3)
◆インフレ率(カッコ内は前回9月FOMC時点の見通し)
2022年:5.6(5.4)
2023年:3.1(2.8)
2024年:2.5(2.3)
2025年:2.1(2.0)
来年の景気は悪化するとの予想ですが
早期の利下げはしないスタンスが示され
マーケットは株安、ドル高で反応。
ただ最新のFedWatchを確認すると、マーケットはそれでも来年秋以降の
利下げを織り込んだ状態を維持。
これは景気悪化によりFedが利下げを余儀なくされると見ているということか。
米国景気悪化という予想はFedもマーケットも一致しているというわけね。
※FedWatch
米株が下がったのは景気悪化予想を嫌気したからなのか、
ターミナルレートが引き上げられたからなのか、
12月というカレンダー的な要因なのかはわかりませんが
S&P500は重要なレジスタンスに阻まれて下落しました。
このレジスタンスを超えないことには
米株市場は強気入りできないません、弱気相場は継続しています。
ドル金利は長期ゾーンが上向いたものの
短期ゾーンが低下気味。長短金利差が縮小傾向に入ったか?
6月FOMC後から長短金利が逆転する逆イールド状態が続いてきましたが
ターミナルレートが5%程度に収まって、引き締め的金融政策の終わりが
見えてきたことで、異常事態解消に向かうのでしょうか。
これはドル高のトレンドが終焉していることを示しているようにも見えます。
また日柄をこなして傾向を確認しないことには断言できませんが。
【12月 ECB】タカ派的◆ 0.5%利上げ 主要政策金利2.5%へ(予想通り)
~利上げ幅縮小、前回0.75%から今回0.50%に
ラガルド総裁
「利上げ幅縮小は政策転換ではない」
★次回以降、3回にわたり0.5%の利上げを続ける可能性を示唆
◆QT(量的引き締め)開始を明言
23年第2四半期から資産購入プログラム(APP)の下で購入した債券の保有を
月平均150億ユーロ減らす計画
声明文
「インフレ率が高すぎ、あまりに長い間目標を大幅に上回ると予想されることから、
政策金利をさらに大幅に引き上げると予想する」
利上げ幅こそ縮小されたものの、ターミナルレートがはっきり示されないため
どこまで金利引上げがあるか明確ではありません。
次回以降、3回にわたり0.5%の利上げを続ける可能性を示唆しており
ここからの利上げの可能性はFRBよりも高いと考えられないこともないですが
果たして経済が持つんですか?という懸念もありますね。
【12月 BOE】ハト派的◆ 0.5%利上げ 政策金利 3.5%へ(予想通り)
~9会合連続利上げ
◆22年第4四半期(10~12月)の英国のGDP成長率は▼0.1%と予想
前回(11月時点)予想の▼0.3%からは上方修正もすでに現在リセッション入との認識
(前回7-9月期のGDPは▼0.5%)
◆消費者物価指数(CPI)上昇率は10.7%で、10月の11.1%から低下
ベイリー総裁
「インフレが既にピークを過ぎた」可能性を指摘
「予測に対するリスクは「上振れ」」
FOMCタカ派、ECBタカ派、BOEハト派で
ドル高ユーロ高ポンド安でいいのかというと
為替はそんなに単純ではないので難しい。
ポンドは売り目線転換でも良いような気がしますが
ユーロが買い継続かというと悩ましいところ。。。
ドルは意外と材料出尽くしでドル高も終盤に近い気もしますし。
今週は日銀の金融政策決定会合がありますので、
円の動向にも注目でしょうか。
岸田政権の打ち出すタカ派メッセージをどのように諫めるのか
黒田総裁のコメントには注目が集まるでしょう。
ただし、今週は流動性が著しく低下しますので
あまり根を詰めてトレードする時間帯ではありません。
欧米勢はクリスマス休暇。28日頃まで休んでいます。
戦略としてはドル円、クロス円の売り場探し。
ポンドの売り場探しでしょうか。
ポジションは軽めに。
・ゼロコロナ転換の中国、感染急拡大 息を潜める北京
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1703Q0X11C22A2000000/自由をくれ、と暴動が起こり、当局が規制を緩和した途端に感染爆発、
感染の恐怖で逆に国民は自ら家に閉じこもっているようです。
「来年1~2月に感染のピークを迎える」と予測されている模様で
中国のリオープンによる世界経済が上向きになるという期待は打ち砕かれています。
・DOE Announces Repurchase of Oil for the Strategic Petroleum Reserve
https://www.energy.gov/articles/doe-announces-repurchase-oil-strategic-petroleum-reserve米国エネルギー省(DOE)の石油備蓄局は、
戦略石油備蓄(SPR)向けの原油の買い戻しを開始すると発表
まず最大300万バレルの原油を購入することから始める
バイデン政権はWTI価格70ドル割れでSPR備蓄用に原油を購入開始すると
先に発表していましたが、70ドル割れを待たずに購入再開することを決定しました。
中国重要減退、世界景気減速懸念などで原油価格は下落が続いていましたが
米国が備蓄原油を売却から購入に転換することで、価格下落は止まるか。
これは米国のシェール企業など原油生産者支援でもあり、
将来のインフレの芽を摘む意味でも重要なことです。
あまり価格が下がりすぎると米国の生産者はますます原油生産を減らしてしまう。
シェール企業の生産コストは人件費、資材価格高騰などで上昇しており
高い原油価格がないと採算が合わないのです。
原油が安くなってしまうと増産ができない。
つまりは将来のインフレリスクを高めることにつながっていきます。
70ドルと言うのは米シェール企業の生命線なのかもしれません。
*************今週の予定******************
19日(月)
ドイツIFO企業景況感指数(12月)
EUエネルギー相会合
20日(火)
日銀金融政策決定会合、黒田日銀総裁 記者会見
中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート 1年・5年)
ユーロ圏消費者信頼感(12月)
21日(水)
ドイツGFK消費者信頼感(1月)
カナダ消費者物価指数(11月)
米消費者信頼感指数(12月)
22日(木)
トルコ中銀政策金利
米GDP確報値(第3四半期)
米景気先行指数(11月)
23日(金)
日銀議事録(10月27日-28日開催分)
日本消費者物価指数(11月)
米個人所得支出(11月)
クリスマスに伴い米債券市場は短縮取引
24日(土)
英国全国鉄道海運運輸労働組合(RMT)ストライキ実施予定(27日まで)
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